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琉球大学病院 第三内科

不整脈センター

ご挨拶

不整脈センター教授

琉球大学病院
不整脈センター センター長
佐々木 毅

2025年4月より琉球大学第三内科(循環器・腎臓・神経内科)に着任し、不整脈センター長を拝命しました、佐々木 毅と申します。
これまで東京医科歯科大学(現東京科学大学、笹野哲郎教授)に在籍し、武蔵野赤十字病院で4年間、東京医科歯科大学で9年間、災害医療センターで8年間、循環器・不整脈診療に従事してまいりました。特に、カテーテルアブレーション、心臓植込みデバイス治療、WATCHMANデバイスによる左心耳閉鎖術などの不整脈治療に多く携わってきました。

近年、不整脈診療は高度で複雑化し、範囲も多岐にわたります。地域の患者様に迅速かつ的確な医療を提供するため、このたび本学に「不整脈センター」を新設いたしました。沖縄県の不整脈診療に関する教育・研究・診療を一層推進すべく、企業からご寄付を受け、「不整脈・心不全先進医療講座」を開設いたしました。将来の沖縄の不整脈診療を担う人材を育成し、重症心不全例を含む患者様に最新かつ最善の治療を実践できるように、全力を尽くしてゆきたいと考えております。

最後に、不整脈専門医として最新・最良の不整脈治療を探究し続けると同時に、「病める、弱める、悩める」患者様一人ひとりに対して、自分の家族であれば、または友人であればどのような治療を行うのか、そのような思いを忘れずに、「おもいやり」のある診療を常に心がけてゆきます。医師、看護師、臨床工学技士、放射線科技師、薬剤師、病院事務が不整脈チームとして一丸となり、より良い診療体制の構築に努めてまいりますので、皆様のご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

不整脈センタースタッフ紹介 (2025年度)

佐々木 毅 - Takeshi Sasaki -

役  職医学博士 総合内科専門医 循環器専門医 不整脈専門医
日本循環器学会九州地方会評議員
日本不整脈心電学会評議員/九州・沖縄支部役員
リード抜去プログラム履修、経皮的左心耳閉鎖術実施医

卒業大学札幌医科大学 平成11年卒
東京医科歯科大学大学院 平成23年卒

資  格医学博士 総合内科専門医 循環器専門医 不整脈専門医
不整脈心電学会評議員、循環器学会九州地方会評議員
リード抜去プログラム履修、経皮的左心耳閉鎖術実施医

野村 悠 - Yu Nomura -

役  職不整脈センター, 不整脈・心不全先進医療講座 特命助教

卒業大学福島県立医科大学卒

資  格医学博士 総合内科専門医 循環器専門医 不整脈専門医

潮平 親哉 - Shinya Shiohira -

役  職不整脈センター、循環器・腎臓・神経内科学講座 助教

卒業大学東京医科大学卒

資  格総合内科専門医 循環器専門医

山城 俊樹 - Toshiki Yamashiro -

卒業大学琉球大学卒

資  格内科専門医 循環器専門医

糸数 優樹 - Yuki Itokazu -

卒業大学琉球大学卒

資  格内科専門医

琉球大学 不整脈センター外来

 
午前9〜12時 佐々木 毅 佐々木 毅 潮平 親哉 糸数 優樹  
午後12〜15時 佐々木 毅 ペースメーカ 野村 悠 山城 俊樹  

・月曜日から木曜日に不整脈センター医師が専門外来を担当いたします。
・外来診療予約 TEL:098-894-1301 (病院代表) │ 受付時間:平日 9:00 〜 17:00

高周波カテーテルアブレーション

「カテーテルアブレーション」とは、主に高周波と呼ばれる熱源を用いて心臓の筋肉をカテーテルを用いて焼灼する方法です。多くの頻脈性不整脈に対して治療が可能であり、1回の治療は、平均2-4時間程度で、カテーテル終了後に4〜8時間程度の安静時間が必要ですが、その後は歩行も可能です

 

3Dマッピングシステム

3Dマッピングシステムと呼ばれる装置の開発により、カテーテルアブレーションの有効性と安全性が大きく向上し、現在多くの施設で、CARTO(カルト)、Ensite (エンサイト)、Rhythmia (リズミア)と呼ばれるシステムを用いてカテーテルアブレーションが行われています。当院では、CARTO/Ensite両方のシステムが現在は使用可能です。

3Dマッピングシステムでは、心臓の解剖学的形態の把握、電気的興奮の大きさ(voltage map)や電気的興奮の流れ(activation map)を3D画像として可視化できます。例えば、回路で回る頻拍において、どのような回路で興奮が流れているかを見た目で分かります(図A)。また、CTI画像をマップに取り込むことが可能で、マッピングの3D画像とCT画像を重ね合わせることで、CTの立体画像を見ながらアブレーションをすることも可能です(図B)。

当院で可能な心房細動に対する主な治療

心房細動に対するパルスフィールドアブレーション

パルスフィールドアブレーションは、2024年9月から日本で使用可能となった新しいアブレーション法で、従来の高周波や冷凍凝固による熱伝導を介した焼灼ではなく、パルス電流により心筋細胞のみを標的として治療ができるため、食道、横隔膜、神経など周囲臓器への影響はほとんど認められません。

焼灼時間も短く、より安全で患者さんの負担の少ない治療方法と考えられます。肺静脈隔離術と呼ばれる標準治療については、20分程度での焼灼が可能と考えます。

 

心房細動に対するマーシャル静脈に対するエタノールアブレーション

僧帽弁輪のブロック作成や左心耳周囲からの期外収縮に対するアブレーションに難渋する場合、または心房細動基質のmodificationを目的として、マーシャル静脈と呼ばれる細い静脈をバルーンで閉塞して無水エタノールで焼灼する方法が可能です。リスクを考慮し、必要性の高い患者様に施行しています。

当院で可能な心室性不整脈に対する特殊治療

難治性心室性不整脈に対する心外膜アブレーション

心外膜アブレーションでは、心臓の外側にある心膜と心臓の間のスペースにアブレーションカテーテルを挿入し、心臓の外側から心筋を焼灼する方法です。通常の焼灼は心臓内部から行いますが、心室不整脈の起源や回路が心室筋の外側に位置する場合には、心外膜からのアブレーションが必要になります。

 

難治性心室性不整脈に対するバイポーラーアブレーション

バイポーラーアブレーションは、2本のアブレーションカテーテル間で通電を行う方法で、1本のアブレーションカテーテルで焼灼できない心筋深部の焼灼を行う場合に行われます。ただし、保険承認外の使用方法であるため、当院では、院内の倫理審査による承認を経た上で、従来のカテーテル治療や薬物治療などで治療できない難治性心室性不整脈に対象として、患者様の同意を得て本治療を行っています。

 

難治性心室性不整脈に対するエタノールアブレーション

主に心臓周囲を走行する冠静脈の分枝をバルーンで閉塞し、無水エタノールを注入して心臓外側の心筋の一部を焼灼する治療法です。心臓内側からのアブレーションで治療が困難な場合に検討されますが、保険適用外のため、当院では院内倫理審査委員会の承認を得たうえで、従来のカテーテル治療や薬物治療で効果が得られない難治性心室性不整脈の患者様を対象に、十分な説明と同意を経て実施しています。

当院で可能なデバイス治療

徐脈に対する経静脈ペースメーカ

通常の経静脈ペースメーカは、1.5時間前後で植込みが可能であり、術後しばらくして歩行も可能です。電池寿命は10年を超えることが多く、その後本体の交換が必要になります。心房性不整脈に対する抗頻拍ペーシング機能や自宅でペースメーカ作動をチェックし、不整脈の有無を検出可能な遠隔モニタリングも広く普及しています。当院では、年齢を問わず、日常生活に支障をきたす徐脈や、心不全・心房細動などの合併し十分な薬物治療ができない徐脈に対しては、積極的にペーシング治療を行っています。

 

リード留置の不要なリードレスペースメーカ

リードレスペースメーカーは、静脈内へリードを留置する必要がない画期的なペースメーカーです。近年は心室だけでなく心房への留置も可能となり、適応拡大が期待されています。植え込み時間は約30〜60分と短く、創部の処置も不要なため、早期退院が可能です。

 

刺激伝導系(左脚、ヒス束)ペーシングを用いたペースメーカ植込み

正常伝導路である左脚やヒス束近傍といった刺激伝導系に心室リードを留置することで、より生理的な心室ペーシングが可能となり、従来の右室ペーシングによる心機能低下のリスクを軽減することが可能です。

 

心室細動に対する皮下植え込み型除細動器(S-ICD)/Extra-vascular ICD (EV-ICD)

徐脈によるペーシングが必要ない心室細動の予防では、静脈内へのリード留置不要な皮下植込み型除細動器(S-ICD)の植込みが可能です。2025年3月からは、抗頻拍ペーシング可能なEV-ICVが日本に導入され、新たな治療の選択肢として注目されています。静脈リードは、感染や静脈閉塞、リード抜去時のリスクがあルため、若年者では特にS-ICDやEV-ICD植込みが推奨されます。

 

心不全に対するデバイス治療:両心室ペースメーカによる心臓再同期療法

心臓再同期療法は、重症心不全患者を対象とし、左心室内での伝導時間の延長により左室側壁領域の収縮の遅れが生じる場合に行われます。左室側壁を走行する冠静脈分枝にペースメーカリードを留置し、両心室を同時にペーシングすることで、左室非同期による収縮のズレを改善し心機能を補助する治療法です。

その他の治療

心房細動に対するカテーテルによる左心耳閉鎖術

経皮的左心耳閉鎖術は、心房細動時に血栓のできやすい左心耳という左心房に繋がる袋を、カテーテルを用いて閉鎖する治療法であり、当院では2025年8月から施行が可能です。主に、抗凝固薬の内服中に脳梗塞を発症した患者さんや、抗凝固薬の継続により出血を生じるリスクの高い方を対象に、心房細動患者さんにおける脳梗塞予防を目的として行います。

ペースメーカリードのカテーテルによる抜去術

ペースメーカ感染やリード断線などの理由によりペースメーカリードの抜去が必要となった場合に、開胸手術を行わずに、経静脈的にリードを抜去する方法で、血管壁や心筋、弁と強く癒着したリードを抜去するために、レーザーシース やメカニカルシース といった専用カテーテルを用いて抜去を行います。当院では2025年8月以降に開始する予定です。

当院での入院、治療の概要

カテーテルアブレーション

心房細動

入院期間は通常 3泊、手術時間は 1.5〜3時間 程度で、治療内容により変動します。術後は 4〜8時間 のベッド上安静が必要ですが、退院後は通常の日常生活が可能です。腎不全・心不全の患者様や 85歳以上 の高齢者でも、必要に応じて治療を行います。当院では 術後再発予防を重視したアブレーション を施行しています。

発作性上室性頻拍

入院期間は 2泊 で、手術翌日に退院可能です。手術時間は 1.5〜2時間 程度で、全例でマッピングシステムを使用し、より確実で再発の少ない方法を採用しています。術後の安静は 4〜8時間 程度で、小学生から高齢者まで 手術が可能です。発作性上室性頻拍は突然発症し、停止がはっきり自覚でき、息こらえや飲水で停止することがあります。典型的な症状があれば心電図が記録されなくても、症状のみでカテーテルによる誘発・治療が可能です。

心室頻拍

心機能が低下し治療リスクの高い患者様 に対しても積極的に治療を行っており、必要に応じて 心外膜アブレーション、バイポーラーアブレーション、エタノールアブレーション などを実施します。入院期間や治療時間は、患者様の背景や不整脈の状態により異なります。

心室期外収縮

1日約7,500〜10,000回以上の心室期外収縮を認める患者様で、強い症状がある場合、または無症状でもBNP上昇や心エコーで壁運動異常を認め将来的な心不全リスクがある場合、器質的心疾患を有する患者様を適応とし、アブレーションを行っています。入院期間は2〜3泊、手術時間は2〜3時間程度ですが、期外収縮の起源により変動します。

 

心臓植え込みデバイス治療

ペースメーカ、リードレスペースメーカ

通常の経静脈ペースメーカ植込みの入院期間は 約1週間 で、早期退院も検討可能です。リードレスペースメーカは 3泊前後で退院できます。手術時間は経静脈で 約1.5時間 、リードレスで1時間前後で、90歳以上 の方でも生活の質(QOL)の向上が見込まれる場合には植込みを行っています。

植え込み型除細動器、両心室ペースメーカ

入院期間は 約1週間 です。両心室ペースメーカでは退院前に心エコーを用いて設定調整を行います。手術時間は、植込み型除細動器で 約1.5時間、両心室ペースメーカで 約2〜3時間です。皮下植込み型除細動器(S-ICD) は全身麻酔下で手術を行いますが、それ以外はカテーテル検査室で静脈麻酔下で植込みを行います。左室駆出率35%以下 の低心機能例では致死性心室性不整脈や心不全増悪のリスクが高いため、ガイドラインに基づき CRT-D(植込み型除細動器+両心室ペーシング機能)の植込みを積極的に行っています。

 

WATCHMANデバイスによる経皮的左心耳閉鎖術

入院期間は通常3〜4泊で、全身麻酔下での手術時間は約1.5〜2時間、術後は5〜8時間の安静が必要です。90歳以上の高齢の方でも全身麻酔が可能であれば治療を受けることができます。抗凝固薬と同等の脳梗塞予防効果があるため、出血性合併症で抗凝固薬を内服できない、または内服を続けにくい方、過去に心房細動により脳梗塞を発症している方、腎機能が悪く(透析患者さんを含む)長期の抗凝固薬の内服により出血リスクの高い方などを対象に、学会の定める適正指針に準じて治療を行います。

琉球大学 不整脈センター外来

外来 診療予約

月曜日〜木曜日に、不整脈センター医師が専門外来を担当します
TEL:098-894-1301 (病院代表)
受付時間:平日 9:00 〜 17:00

医療者 相談先

緊急時や不整脈治療でお困りの際には、お気軽にご相談ください
TEL:098-894-1413(三内)│内線32144 (佐々木)
MAIL:sasaki_fg2q@cs.u-ryukyu.ac.jp (佐々木)

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琉球大学病院へのアクセス

琉球大学病院 第三内科
〒901-2720 沖縄県宜野湾市喜友名1076番地

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