教授挨拶

楠瀬賢也 

2024年に創立40周年を迎える第三内科(循環器・腎臓・神経内科学講座)に第四代教授として赴任しました楠瀬賢也です.本講座の歴史と伝統,そしてそれに続く一環となることを光栄に感じます.私はこの機会を活かし,教室伝統を尊重し地域と大学病院との緊密な連携を発展させるという臨床重視の信念を守りつつ,自身の新たな視野と活力を教室に持ち込むことで新しい風が吹き込めればと思います.

本講座は沖縄県における唯一の医師育成・研究機関である琉球大学の三つの内科学講座の一つとしての役割を果たしています.基本的かつ総合的な内科診療を通じて地域社会に貢献するとともに高度な専門医療を提供することで,今後も県民の皆様の健康を支えてまいります.医療は大学病院だけでは完結しませんので,地域医療との連携を深め,急性期医療や集学的治療のみならず,リハビリテーション,予防医学,地域での健康増進活動なども継続していきます.沖縄という遠隔地の特性から多様な医療ニーズに対応するための自己完結型医療体制整備をすすめ,循環器・腎臓・神経内科学を担当する第三内科として患者さん一人ひとりの状況に応じた診療を実施することを目指しますが,そのための人材育成は教育理念の核心であり,常に進化し続ける医療を提供できる医師を育てることを優先課題にしたいと考えています.

私の専門領域である臨床研究は医学の進歩と患者の治療にとって不可欠な分野であり,その専門性を更に深化させることで現代医学の最前線での貢献を進めます.新たな医療技術の開発や,適切な診断と治療法の普及に努め,医学部生や所属医師が自身の知識と技術を磨き成長できる環境を創出することに全力を注ぎます.ここに医療を変革させるだろう人工知能(AI)という最先端技術を積極的に取り入れることで,高度で精緻な医療をいち早く地域に提供することを目指します.さらにAIを用いた疾患予後予測や心エコー図法の自動診断法の開発など,臨床現場で直面する問題に対する新たな解決策を模索し続けます.科学とテクノロジーの融合によるこれらの研究活動は,新たな視点から患者さんの問題に取り組むための有効な手段であり,その結果が患者さんの治療に直接的に反映されることを目指し歩み続けます.

このような挑戦を通して,地域社会のみならず日本全国,さらに世界での琉球大学第三内科のプレゼンスを高めることを目標とします.国内外の研究者と積極的に交流し,知識や経験を共有し,絶え間ない進歩を目指します.私たちの研究成果を国際的に発信し,グローバルな視点での医療の進歩に寄与することも重要な使命であると考えています.

そして,様々なタイプの医師の多様性を尊重し活躍の場を広げることで,全ての医師が自分の能力を最大限に発揮できる環境を創出することを目指します.これらが結集することで,持続可能な社会の実現につながるSDGsに貢献できると信じています.

第三内科は新たなチャレンジを続け常に進化し続ける意欲的なチームとなると信じています.一人一人が自分の能力を最大限に発揮し,チーム全体としても最高のパフォーマンスを発揮できるよう,サポートできればと思います.私たちと共に新たな医療の未来を歩んでくれる医師が,今後どんどんこのチームに参加してくれることを期待しています.