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Translate九州医事新報に楠瀬教授の就任インタビュー記事が掲載されました。
- 2023.09.21 -
伝統を重んじつつ新たな文化を育む
琉球大学の循環器・腎臓・神経内科学講座は2024年、開講周年を迎える。その節目を前にして、23年7月に43歳の新教授が着任した。
楠瀬氏が思い描く講座運営のビジョンは、「伝統を重んじながら新しい風を吹き込む」こと。最終的には自身の取り組みが文化として講座に根付き、後進に受け継がれていくことが理想だと語る。
「新しい風の一つは、私が専門にしてきた臨床研究です。琉球大学でも患者さんの利益につながるような研究を進めつつ、学生や講座のスタッフに対して臨床研究の楽しさや有用性、手法などを伝えたい。研究マインドを浸透させ、世界に向けて大きな成果を発信できる講座にしていきたいと思っています。
AIを用いた研究で患者と医師も助ける
楠瀬氏が臨床研究の中で特に力を注ぐのが、AIを用いたものだ。18年から本格的に着手し、他分野を含めた研究者たちと協力しながら数々の成果を上げてきた。臨床研究には明確な方向性があり、大きく分けて「患者側」と「医師側」という二つの視点で研究を進めている。
「患者側」へのアプローチとしては、心エコー図検査で心機能などを自動で計測できるAIの開発が大きな柱の一つ。加えて、今までは人間が気付かなかった疾患の特徴などを自動で抽出できるAIの開発にも取り組んでいる。現状は「発展途上の段階」と言うが、いずれはAIが何らかの新発見をもたらし、より高度で、緻密な医療の提供につなげていくことを見据える。
「医師側」のための研究は、業務の自動化・効率化を図るものだ。医師は患者の診察や治療などの他にも、さまざまな業務をこなす必要がある。それらを最新のAIを活用することによって可能な限り自動化し、現状の負担を減らすことを目指している。
「医師の仕事は、どうしても体力勝負の側面があります。もちろん、そうした部分も必要かもしれませんが、このままではいずれは組織全体が疲弊して立ち行かなくなるでしょう。医師の働き方改革や、持続可能な医療を実現する意味でも、この問題をAIで解決したいと考えています。」
角的な視点を持つスタッフが集う場に
講座運営を行う上で楠瀬氏が心がけているのは、「風通しの良さ」「公平️性」「多様性の尊重」の三つで、一人一人が人生を「エンジョイ」できる組織を理想としている。
これに加えて重視するのが、スタッフの視野を広げること。楠瀬氏自身も、これまで多くの学会に自ら足を運んで知見を深め、AIへの興味もその過程で芽生えたという。今後は他大学や地域の医療機関と人的交流の機会を増やすことなどを通じ、講座全体で多角的な視点を持てるようになりたいと語る。
琉球大学は25年に医学部、大学院医学研究科、大学病院の新築移転を予定しており、真新しい環境での仕事も待っている。かじ取りを担っていく楠瀬氏が望むのは、講座に志を同じくする仲間が多く集うようになることだ。
「新たな航海へ向け、私やスタッフたちと同乗してくれるメンバーを募っています。今はまさに、講座の新しい魅力が出来上がっていくタイミング。こうした点をやりがいや魅力に感じてくれる医師、メディカルスタッフの方がいれば、ぜひ気軽に声を掛けていただきたい。多くの仲間と共に、理想の講座に向かって前進していきたいと思っています」と語る。
大学、講座の転換期。多くの新たな仲間と前進を
広い視野と多角的な視点を持つスタッフが集う講座を目指している
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